母を想う、光あふれる古民家再生
懐かしい面影はそのままに。光と開放感に満ちた、第二の人生を彩る住まい。
「年老いたお母様が、明るく安全に、自分らしく暮らせるように」というお施主様の深い愛情から始まったこのプロジェクト。
長い年月を家族と共に歩んできた古民家は、その重厚な佇まいを活かしつつ、一歩中へ入れば驚くほど明るく、使いやすい空間へと生まれ変わりました。
古き良きものを大切にする心と、最新の建築技術が融合したこの住まいは、住む人だけでなく、訪れる人の心まで温かく整えてくれるような、慈しみに満ちた場所になっています。
どっしりとした和の趣を残しつつ、外壁には時が経つほどに味わいを増す杉板を採用しました。落ち着いたダークトーンの壁面と、清潔感のある白い壁のコントラストが、現代的な洗練さを演出しています。玄関までのアプローチにはなだらかなスロープと手すりを設置し、お母様が一人でも安心して外出し、笑顔で帰ってこられるような「優しさ」を形にしています。
かつての暗さや不便さを解消し、広々としたワンフロアのLDKへと一新しました。床の段差を完全になくしたフルフラット設計は、お母様の足元への不安を取り除きます。対面式のキッチンからはリビング全体が見渡せ、お料理をしながらでも家族の会話が弾みます。天井の一部に施された深いブルーのアクセントが、木のぬくもり溢れる空間に心地よいリズムと品格を与えています。
LDKに隣接して設けられたお母様の寝室は、障子を閉めることで静かなプライベート空間を保ちつつ、開ければすぐに家族の気配を感じられる安心の設計です。既存の古材を活かした重厚な建具と、新しく設えた明るいフローリングが違和感なく溶け合い、新旧の良さが共鳴しています。壁一面の造作棚は、大切な思い出の品を飾ったり、身の回りのものを整理したりするのに最適な、自分だけの特別な場所です。
この家の一番のこだわりは、目に見えるデザインだけでなく、住む人の動きを徹底的に考え抜いた「動線」と「機能」にあります。玄関の開けやすい引き戸、車椅子でも移動しやすい広い廊下、そして家中どこにいても一定の明るさを確保する照明計画。これらはすべて、お母様が「自分の力で、楽しく快適に暮らせる」ことを第一に考えた、お施主様と私たちのこだわりの証です。